[化学のジャム−その1(実験)] (2014/09/09)
ジャム作りを始める前からいつかはやろうと思っていた「素材の存在しないジャム」作り。
化学物質だけでジャムを作ってやろうという実験の第一弾です。


市販のペクチンです。大型スーパーなどで手に入る品物で
糖分と酸性という条件でゲル化するHMペクチンと異なり
カルシウムなどのイオンでゲル化するLMペクチンと
呼ばれるものです。そのカルシウムは商品に既に
添加されているので理屈では他に何を加える必要も無く
ジャムになるはず…と思います、多分。画像は3グラム。
私がジャムになりにくい素材でジャムを作る際、炊く直前の
全重量150〜250グラムに対して使用する程度の量です。


ジャムとして仕立てる都合上砂糖を加えます。割合は
どうしたらいいのか困りましたがいくつかの商品のパッケージの
説明を見ると大体ペクチン:砂糖=1:15〜20になっているので
今回は20倍の60グラムとしました。説明書ではペクチンは
水に加えてゆっくり加熱しながら溶かすことになっていますが
今回は昔聞いたやり方であるあらかじめ砂糖に加えて混ぜてやる
やり方を採用しました。その方が私が慣れているので
成功するにせよ失敗するにせよ結果の評価がしやすいからです。


更に困ったのが加える水の量です。これは目安が無いので
普段の私の目安である「材料の全重量50グラムに対して
ペクチン1グラム」に基づいて90グラムとしました(上で書いて
いるのと割合が違いますが実際に加えるときには素材である
果物にもゲル化する成分が含まれているはずと考えてその分を
差し引いているのです)。つまりペクチン3グラムに対して
3×50=150グラムから砂糖60グラムを差し引いて水を
90グラムというわけです。更に重量的には余分になりますが
やはりジャムには酸味が欲しいということでレモン汁を大さじ1
加えました。加熱せずにカシャカシャかき混ぜてみましたが
この量だと砂糖もなかなか溶けきらないようです。


じっくり弱火で加熱し始めました。砂糖が溶けてやや濁った
透明になりました。


何分煮ればいい、というものでもないので様子を見ながら
加熱します。結果的に沸騰してから12分ほどで終了としました。
鍋の中で泡が大きくなり、スプーンに取って一滴水に落としたとき
パッと散らずに何となく固まりになりつつ沈んでいく程度に
なったのを目安としました。


ビンに移しました。少ないです。これは非常にコストパフォーマンスの
悪い代物と言えます。色は完全な透明ではなくやや飴色がかって
います。糖分がカラメル化した着色もあるかもしれませんが
炊き始めからこんな感じの色が付いていましたからむしろ最初からの
色が煮詰まって濃くなったという感じです。なお常温であら熱を
取っていたらどんどん固くなり始めたので何度かに分けて
大さじ1〜2程度の水を加えて練って固さを調節しました。
画像は調節後のものです。


食感は予想はしていましたが飴そのものとは言わないまでも
ベタッとして糸を引く感じです。また見た目では分かりませんが
細かいダマのような粒子がたくさん混じってしまいました。
砂糖とは思われないのでペクチンなのでしょうが何が悪くて
こうなったのかは不明です。味の方は当然何の香りもせず
砂糖の甘さとレモン汁の酸味がする、強いて言うならレモンジャムです。

品物としては満足できるものが出来たとはとても言えませんが
実験には試行錯誤も失敗もつきものでそういう意味では
第1回の実験の結果としてはこれで十分だったと思います。
今回は最初からジャムと言える物を作ろうと思ってしまったばっかりに
いろいろと中途半端になってしまったので次回は今回の結果を踏まえて
もっと実験と割り切った作業をしてみようと思います。さしあたり
商品としてのペクチンの説明書に則ったやり方でペクチン液を作る
ところからでしょう。今回最後に出来てしまったダマは無くさないと
どう使おうとしても食感が悪いですし酸味もレモン汁ではなく
クエン酸でも使えばより「化学のジャム」らしくなって面白いかも
しれません。やれることも応用できる範囲もたくさんありそうです。