[デラウェアのジャム−その2] (2014/08/30)

白桃に続きまた1年前に試した素材のリベンジです。
去年は素材を皮ごとフードプロセッサで粉砕してガーゼで濾しその果汁に
レモン汁と砂糖を加えて炊くというやり方で作りましたが炊きあがり直後は
ビショビショなのに冷やすと固くなって何だか飴っぽいべたつきのある食感に
なり、味は酸味も甘味もあるが香りに乏しく何のジャムか分からないという
品物に仕上がりました。当時はとにかくジャムらしい品物にはなったという
ことで及第点扱いしていたのですが今回はこれより更にジャムらしい品物に
することを目的にしました。具体的にはプルンとしたジャムらしい食感、
見た目の色や香り、味ですぐにブドウと分かること、です。


素材です。これを2房使用しました。


白桃の時に有効と分かった電子レンジをまた使います。短時間で
下煮をしたのと同じ効果が得られる作業ですが、酵素を破壊して
褐変を防ぐ効果の他に素材の水分が中から沸騰して吹き出すせいか
果皮などに含まれた色素が煮汁?とともに絞り出される効果も
あることが前回確認できました。今回は褐変防止よりこちらの効果を
期待しています。もちろん事前に加熱することで炊く時間を短くして
香りを維持したり糖分が焦げて飴のような香りになることをできるだけ
避けるという効果も期待しています。で、まずは実を取って水できれいに
すすぎました。


1房につき600ワットで3分加熱しました。身がはじけて
皮と分離しています。ブドウの香りが漂ってきます。


上の画像では分かりませんが溜まった汁には皮の赤紫の色が
狙い通りしっかり溶け出していました。皮をどうするか迷って一旦
手作業でより分けてみたのですが皮と一緒に果汁や皮の裏側の
一番甘い部分が一緒に取り除かれてしまうので皮ごと漉し器で
いつものように濾しました。今回はみじんに砕くというよりは
皮にくっついた果実や果汁を搾り出すという感じです。漉し器に
かけることで電子レンジで出きらなかった色素も同時に絞り出せた
ようです。画像はそうして絞り出したもの。2房で280グラムと
やや少なめです。


炊きます。今回は作業にいくつか工夫を加えてみました。
砂糖は30%ですがそのうち20グラムくらいを取り分けて市販の
ペクチン5グラムと合わせておきます。レモン汁大さじ1を加えて
ゆっくりと沸騰させた素材にこのペクチン入り砂糖を加えて再度
沸騰してから10分炊きます。その後数回に分けて残った砂糖を
投入して良い具合になるまで炊きます。合計で約20分、結局
炊く時間は余り縮まりませんでしたが焦げないように弱めの中火で
炊いたので仕方有りません。ブドウはペクチンなしでもジャムに
なりますが最初に書いたとおり飴っぽくなりがちなので煮込んで
固くするのでなくペクチンでゲル化させる作戦です。砂糖を分けたのも
糖分を加えるのをできるだけ遅くして焦がすリスクを減らすためです。


完成。これともう少量できました。色は元々の素材より赤いですが
まあまあでしょう。食感も申し分有りませんが、市販のペクチンを入れると
どこか不自然な独特の微妙な固さになるような気もします。香りは
炊いたせいで生のブドウとはやや異なりますがちゃんと残りました。
味は一口めでは「ん?」という感じですがすぐに「あ、これはブドウだ」と
分かる味がします。とはいえこれも炊いたせいか生のブドウとは
微妙に異なる味です。アク取りはまったくしていないのですが、渋すぎるとか
濁ってしまったということはありません。さすがに1年前と比べれば
マシということか、最近取り入れた電子レンジ加熱の下処理のおかげか
現在の評価でもどうにかOKを出せる物にはなったと思うのですが、
ただもっとシビアに味を評価すると、香りも甘さも酸味も「強い」のですが
「厚み」がありません。上手に良く炊かれたジャムには舌に触れる
直接的な味の強さ弱さとは別に奥行きとか深さとか、更に抽象的に
なりますが「豊かさ」が感じられます、今回の品物はその辺がやや
薄っぺらな感じがします。残念、というほどではないですがこのあたりを
クリアできないと更においしいジャムは作れないかもと思います。

白桃の時にも書いたオーブンドライ、これをそのうち試してみようかと
思います。ただあれは果実の形を残すプレザーブドタイプのジャムで
威力を発揮するやり方のような気もするので濾してしまうタイプのジャムで
どの程度有効か心配もありますが、この際なのでいろんなチャレンジを
してみようと思います。