[白桃のジャム−その3] (2014/08/24)

1年前、このジャム記事をまとめ始めた頃に作った
白桃のジャムにまたチャレンジしました。
以前作ったときは多分炊き込みがきつくて飴っぽい
風味になったり褐変して真っ茶色になったりしたのでは
ないかと思いますが、今回はより桃らしいジャムに
仕立てることを目標に市販のペクチンを使用して
炊く時間を短くするよう心がけたり、何より問題な
褐変の対策を試してみることにしました。


白桃です。品種は不明。購入してしばらく冷蔵庫に
入れっぱなしでしたが1個が部分的に傷みを生じた以外は
良い感じの状態を保っています。


試しに1個加工してみます。皮付きの桃をよく洗って
二つ割りにして種を取り除き、それをさらに2つに切ります。
断面には速やかにレモン汁を塗って…。


電子レンジにかけます!褐変を引き起こす酵素はタンパク質で
出来ており、そのため加熱して破壊しても酸素と結合して
変色させる働きをなくすことができると聞いたからです。
鍋で煮ても良いのでしょうが電子レンジの方が一気に全体を
加熱できるし水分の蒸発も少なくしくじって焦がしてしまう心配も
少なくなります。画像の半個分で600Wで2分、全体から十分に
湯気が噴いて電子レンジの窓が曇るくらいまで加熱しました。
結果、ご覧の通りすばらしい成果が得られました。この方法は
大いに有効なようです。容器の底に赤い汁が溜まっていますが
これは皮の赤い部分から生じたようです。


1個分を前述のように下処理して漉し器で濾しました。
かなり良い感じです。皮は取り除いても取り除かなくても
いけると思います。


傷んでいる部分を取り除いて約130グラム。甘味は十分なので
砂糖は重量の20%。桃らしい甘さを際立たせたかったので
レモン汁は小さじ1杯にしました。さてペクチンですが゜、長いこと
勘違いしていましたがスーパーなどで売られているペクチンの
多くはLMペクチンと分類されている物でこれはゲル化するのに
pHを3付近まで酸性にしたり糖度を高くする必要はありません。
必要なのはカルシウム等の特定のイオンでありこれは商品には
既に添加されているのでただ素材に見合った量をダマにならないように
使えば良いのです。pHや糖度の条件はHMペクチンという一部の
菓子専門店で売られている品物を使うときに意識すれば良いのです。
また自然の果物に含まれているペクチンは種類や熟し方によって
様々なようですがHMペクチンに近いもののようです。
さてその使い方ですが商品なのだから説明書に沿うのが
良かろうと調べてみるといくつかの商品から判断するに
果実から砂糖から水から、すべての材料を合わせて
50グラムに対してペクチン(LMペクチン)1グラム程度が基本と
読み取れました。今回の量なら2.5グラム程度加えたいところ
ですが使いかけの残りが1.5グラムだったのでそれだけで
妥協しました。1年前に作ったときは市販のペクチンは加えなくても
ゲル化したし多分これでも何とかなるだろうと判断しました。
もししくじって固まらなくても桃はあと2個あるのでそちらを
加工するときペクチンを増やして固まらなかった分も混ぜて
しまえば良いのです。


炊き始めました。小さめの泡が浮かびます。アクは取るほど
出ません。


9分で炊きあがりです。色がちょっと赤っぽくなりました。
どんな成分の何の働きか分かりませんが、糖分が熱で
徐々に変色しているのであれば砂糖を加えるタイミングを
ある程度炊いてからにすることで多少は軽減できるかも
しれません。果物自体にもたくさん糖分は含まれていますから
完全に変色は防げないでしょうが、試してみる価値は
無いとは言えないでしょう。あるいはこの炊く工程も
電子レンジでやってしまうという手もあるかもしれません。
どう違いが出るか想像も出来ませんが試してみるのも
面白そうです。


やや赤っぽくなりましたが1年前の物よりは大分マシな色です。
ゲル化具合はやや柔らかめながらまずまずでカチンカチンの
使いづらい仕上りになるよりはよほど良い具合です。一方味は
狙い所を間違えた感じで甘ったるすぎです。しかも炊く時間が
短いせいで良く言えば果汁そのままらしいみずみずしさと
言えなくもないですが悪く言えば濃縮されていない水っぽい味です。
杏のジャムの製法で種を取った杏を低温のオーブンで加熱して
水分を飛ばしてから炊くというのを聞いたことがあります。
これをすると濃縮された濃い味のジャムができるということですが
おそらく今回のような水っぽさを無くすための作業なのだろうと
実感します。


さてここまでの作業の反省を取り入れて残りの2個で作ります。
基本工程は同じですが、砂糖は重量の25%に増量、レモン汁も
桃2個に対して大さじ2に増量。ペクチンはとろみに問題なかったので
桃2個分で3グラムとしました。量が多くなったことで炊き込みには
時間がかかるようになり出来上がりまで16分かかりました。
1個で炊いているときはプチプチと熱い泡がはじけることは
無かったのですが何故か今回は周囲に飛び放題でかき混ぜる手に
やけどしそうだったので鍋より一回り大きい漉し器を乗せて
蒸気だけが抜けるフタのかわりにしました。ちなみに桃2個分で
330グラムの原料ジュレが取れました。1個でやったときの倍より
大分多いですが1個のときは傷んだ部分を除いたりしたので
そのせいだと思われます。沸騰して多少煮詰まり始めたところで
1回目の完成ジャムを混ぜて一つにしてしまいました。


というわけで完成した白桃のジャム。真っ白というわけにはいかず
乳酸菌飲料程度の色になりました。味は加減をしたので多少は
良くなりました。まずは合格点を付けられる出来ですが、今度は
そのうちオーブンで加熱して水分を飛ばしてからというのも
試してみたいところです。