[スチューベンのジャム] (2013/12/09)

高い高いといっている間にだんだん安くなってきたのでようやく
ブドウのジャムです。品種はスチューベン。どんな品種かは
知りませんでしたが黒っぽい皮がいかにもブドウらしい大粒の品種です。


値引き品を選んだらちょっと熟しすぎていたようで傷みかけた
粒も混じっていました。さてどう加工するかと考えましたが今回は
完全に皮を除く代わりにその内側のぬるっとした部分を丁寧に
こそげ取って加えるということにしました。これで細かい皮のくずが
混じらず口当たりが良くなるはず…。


プランに従って下ごしらえにかかったのですがこれが非常に
骨の折れる作業になりました。まずこの品種はどの粒にも複数の
大きな種が入っていてこれを手作業で一つ一つ取り除かなくては
なりません。果物ナイフでくるりと粒に切れ目を入れて皮を
取り除いたら実を二つに割って種をえぐる…と書くのは簡単ですが
これを二房分やるのには手間も時間もかかります。手からしたたった
果汁でその辺もベタベタになります。そしてそれが済んだら
皮の内側をこそげ取る作業ですが皮を四つ割りにしないときれいに
こそげ取れないのでこれまた相当な手数がかかります。
作業終了まで2時間以上を要してそれだけでくたくたになり、
もう二度とこれはやるまいと誓いました。画像はそんな苦労の末
出来上がった素材。実本体の色は皮と違って乳白半透明、
こそげ取った皮の内側は濃い赤紫色です。


下煮します。すでにレモン汁は入っています。ある程度柔らかくなったら
漉し器で濾そうというわけです。


結構アクが出ました。このアクをペロペロとなめていて気づいたのですが
ブドウという果物の個性には渋みが欠かせません。ジャムにするのに
この渋みをアクとして除いてしまうから出来上がったジャムからは
ブドウらしさがあまり感じられないのかもしれません。このことが解決
出来ればもっとブドウらしいジャムが作れるかもと思います。


5分ほど煮て漉し器と木べらで漉しました。トロリとしています。
ここへ砂糖とペクチンを混ぜて加え、さらに煮ます。
例によって10分も煮ません。ブドウのジャムは煮ている最中は
ビショビショでも冷ますと結構固くなるからです。ならなぜ
ペクチンを加えるのかという話になりますが、それは煮る時間を
短くしたいからです。そのことで香りを出来るだけ残したいという
狙いがあるわけです。ところで今回は濾した後の素材は約140グラム、
砂糖はその30%弱で
40グラム、ペクチンはその5%で2グラムです。


完成。見た目でビショビショなのでつい煮すぎてしまって大抵
固めになってしまいます。今回もちょっと固めですがビンを手で
叩くと細かくブルブルと震える程度で、固めの寒天くらいの固さ
でしょうか。スプーンにとってのばせばちゃんと食パンにも
塗れそうな固さです。色はこの通りようやくブドウらしい紫色に
仕上がりましたし今回はまあまあでしょう。今後の留意点としては
不安に耐えて煮すぎないことと、今回やったような手間が
かかりすぎる下ごしらえは二度としたくないので別の手だてを
考えなくてはならないということです。やはり皮ごと粉砕して
ガーゼで絞るといったあたりが妥当かもしれません。
あとペクチンは無しでも固まるのは分かっているので
砂糖の3%くらいでも良いかもしれません。

2014.10.22追記
この10月まで冷蔵庫で保存していたこの品物を取り出して
食べてみたのですが味は良好ながら固さはやや固くカルシウム等の
ミネラルの結晶っぽいごく細かい粒々が全体に生じていました。
これがブドウ由来のものか砂糖やペクチン由来のものかは
不明ですが保存しているうちにこうした食味を損なう変化が
生じることがあることをご報告しておきます。