[スイカのジャム−その2] (2014/09/05)

もう夏も終わりじゃないかということであわててスーパーでスイカを買ってきました。
使ったのは去年と同じカットスイカです。去年は単純に煮詰めただけでしたが
今年は直火の加熱による風味の劣化を避けつつ水分を抜いて味を濃縮するため
オーブンドライを試してみることにしました。これは「ほぼ日刊イトイ新聞」で
アンズジャムを作る工程として取り入れられているものを参考にしました。
また他の作業でも一部同記事での作り方を参考にしています。


素材です。今回は傷みかけの割安お買い得商品ではありません。


見える部分の種を取り除いたら適当な厚さに切って
天板に敷いたオーブンペーパーに並べて加熱します。
設定温度は100度。時間は「ほぼ日」ではアンズの場合
様子を見て30分〜1時間くらいとありましたが…。


スイカはアンズより水分が多いのでそう簡単には状態が
変わりません。1時間加熱しても大して水分が減ったようには
見えなかったので温度を110度に上げて更に15分加熱しました。
画像が加熱後。まだまだ表面がビショビショですが
この程度でもある程度濃縮されているのではと今回はこれで
進めることにしました。見た感じは解凍に失敗して目一杯
ディップの出たマグロの刺身みたいです。


「ほぼ日」ではオーブンドライの後重量の50%の砂糖をまぶして
すり込んでから一晩おいて水分を出すとあります。
今回はどうせ濾すので必要ないのではと思いましたが
とにかくレシピをなぞることにしました。ここではスーパーによくある
極薄のビニール袋に入れています。ドライ後の重量は210グラム、
砂糖は甘さを考えて30%に。去年作ったときスイカはゲル化
しにくかったおぼえがあるのでこの時点でペクチンを3グラム投入。
この割合だと90グラムの材料(砂糖・水分込み)に対して1グラムの
ペクチンということになります。


一晩冷蔵庫に置きました。かなりの水分が出ました。
これを見るとオーブンドライはもっと高温、長時間でも
良かったかもと思います。シロップはスイカらしい味と風味、
甘さも十分ですがただ甘いだけだとしつこそうなので
レモン汁を小さじ2入れました。


とりあえずこの状態で濾してみましたがこれは手強いです。
スイカの繊維は強くて濾しても濾しても繊維が漉し器の
目を通りません。仕方なく一旦鍋に移して5分ほど煮てみる
ことにしました。


5分煮たあとの様子。どうもさっぱり煮崩れてくれません。
半透明赤色の汁の中に色の抜けた果肉がたくさん漂っている
状態です。煮立って泡が立つとアクのような色素も分離してきますが
これを取り除くと出来上がりの色が薄くなってスイカ離れした
色になってしまうのでこれも何とかしたいところです。


再び濾しましたが思ったほどにはどろっと崩れてくれません。
仕方なく濾せるだけ濾したところで全体を鍋に戻します。
ここからあらためて炊いていきます。


およそ10分、どろりとしてきたので完成とします。アクはペクチンの
ゲル化に絡め取られでもしたのかあまり浮いてこなくなりました。


もともとの量が少ないので出来上がり量も控えめです。
ゲル化はしっかり。見た目は赤くてジャムらしいし食感も
ペクチンのおかげで飴のようにもならずにジャムっぽく
出来上がりました。味はレモン汁の酸味も嫌みが無く
前回よりはマシな感じです。とはいえ全体的な感想を言えば
あまり魅力的な味ではありません。スイカの味というのは
舌で感じる味だけでなくシャリシャリした歯ごたえや舌触りが
大きく物を言います。これらが完全にスポイルされている上
スイカはもともと鼻でかぐ香りが薄いのでジャムならではの
濃縮された香りという魅力も乏しいです。こうした濾したタイプの
ジャムに仕立てるには結局スイカは不向きな素材と言えるかも
しれません。プレザーブタイプのジャムにするか、単に
砂糖煮にしただけのコンフィチュールとして楽しむ方が
まだ妥当と思えます。オーブンドライ後砂糖漬けにして一晩
置いたあとそのまま適当な時間汁ごと煮て終わりにすれば、
パンに塗ったりするのには不向きですがある程度食感を残した
デザートにできるのではないでしょうか。その方がまだ手間を
かける価値がありそうです。


去年のスイカジャム(左)と。今回の物は色はぐんと良くなっているのですが
味は少しぐらいはマシという程度で終わりました。なお去年の品物は
絞り汁だけを用いてアクとして色素を取り除いてあります。
スイカをジャムにするのはとりあえずもういいかなという感じですが
今回の製作はこれから出回る梨などをジャムにしようと思ったときなどの
参考にはなりそうです。