[レトラ517タンク部の不自然な穴とその補修] (2014/1/15→2015/1/2)

2001年に購入してほぼ10年間日常的に使い続けた塗装用のコンプレッサ
「レトラ517」に起きたトラブルの記事です。


これがそうです。10年使い続けて3年ほどしまい込んでいましたが
引っ張り出して再度使い始めてしばらくでエアタンクからの空気漏れという
トラブルを起こしました。(画像はエア漏れを補修してから撮ったものです)


レトラ517のエアタンクは本体の周囲をぐるりと取り巻いている
黒色のパイプ部分です。画像で中央あたりの銀色のラベルの下で
エア漏れが発生しました。溶接箇所があってそこに亀裂が生じたのかと
思いましたがそうではありませんでした。


ラベルの一部に剥がれが生じてそこからエアを吹いていたので
ラベルを剥がしてみたのですが…。そこにあったのは1.5ミリほどの
直径の見事な円形の穴でした。周囲にはハンマーで釘か何かを
打ち込んだときに生じるような均一な凹みも確認できます。

さてこれは一見しておかしな状況です。溶接加工をしたような様子もなく
垂直でこんな水の溜まりようのない場所がほかより早く錆びたり
穴が開くというのは考えられません。それに穴の周囲の凹みは
何なのか。率直に言って最初から何かが叩き込まれて開いていた
穴だったのではないかと私には思えます。最初から開いていた穴の上に
故意かたまたまかラベルが貼られてそれが10年間穴を塞ぎ続けたと
いうことなのではないかと。

わざわざこんなことをする理由は思い浮かびませんから何かの事故で
穴を開けてしまったパイプを使ったのではと思えますが、この件について
追求しようとしても様々な理由で労力に見合った成果が得られる見込は
極めて薄いと想像されるのでそれはやめておくことにします。

それより問題はこの穴にどう対処するかです。試みに電気工事用の
ビニールテープをグルグル巻いてみましたが簡単にエアが漏れてしまい
全然効果はありませんでした。タンクの穴にはハンダ付けや溶接での
修理を試みた人もいるようですが私には十分な強度を得られる程の
作業が出来る技能も設備もありません。簡単なハンダ付けくらいなら
出来ますが私あたりの仕事では芋付け同然のハンダがピョンと
ふっ飛んで終わりというのが目に見えています。

いろいろ調べたり考えましたがこれまでの使用年数を考慮すると
新品のコンプレッサが買えるほどのお金を使ってでも恒久的な修理に
こだわる必要性は薄いと思えます。そこででなんとか簡易なやり方で
対処し、再度のエア漏れが生じれば持ちこたえた期間の長さによって
再び同じ処置をするか別の補修法や買い換えの検討を行なおうという
ことになりました。


では補修です。まずラベルは完全に剥がしてしまい周囲をきれいにします。
そして台所のシンクの補修などに使う糊付きアルミシートを
5センチ四方くらいの大きさに切って穴の上に皺が出来ないよう
出来るだけ丁寧に貼り付けます。つつけば簡単に破れる
アルミシートですが引っ張りや経時変化には強いはずです。


ここで自己融着テープの登場です。実際の圧力配管の応急修理でも
こうしたテープが使用されることがあるようで、品物によっては配管に
圧力がかかったままで使用できたり具体的にどのくらいの圧力に
耐えられるかが明示されているものもあるようです。
この品物については耐水性があることは記されていますが
それ以外の性能表示はありません。用途も電線の被覆や末端処理用と
ありますが類似のほかの品物と比べて価格が手頃なのと
とにかくアルミテープを上から強力に締め付けられれば
良いのだからと使用することにしました。


引っ張って延ばしながらテープ同士が多めに重なるようにアルミテープ
全体を覆うように巻き上げてやります。テープには粘着剤はついて
いませんがこうして延ばしながら重ねて巻くことでやがて融着する
ようです。アルミテープには張り付きませんが要は中からの圧力で
アルミテープが持ち上げられるのが防げれば良いのです。
これでとりあえず補修完了、あとはどれだけの期間実用に耐えて
くれるかです。



〈その後・1〉
・とりあえず1日2、3時間で数日使ってみましたが問題は無いようなので
このまま使い続けてみます。空気漏れを生じたらその時はこのページの
記事に情報を追加するということで。


参考までに暫定的な処置の図。自己融着テープの手配前に
アルミテープの上を普通のビニール紐で巻いてみた状態。
一応10秒くらいは保ちました。それ以上は試していませんが
案外これでも緊急措置くらいにはなるのかもしれません。


〈その後・2〉
前回報告からわずか1日使っただけでアルミテープの一部と
タンクの間に隙間が出来て、その部分のテープが膨れて
「パンッ!」と自転車のチューブよろしくパンクしました。
テープ同士の融着はちゃんとしてくれていたみたいですが
保ちませんでした。


さしあたって新しい策が無いのと単純に強度を上げてやれば
何とかなるかもと前回よりアルミテープをのばして
タンクの周囲をぐるりと一周するくらいの長さにし、
自己融着テープを前回の倍程度厚く巻き重ねて
さらにその上をビニールテープでグルグル巻きにしました。
今度はどのくらい保つだろう…。


〈その後・3〉2014/1/31記載


結構ガンガン巻いたのですが結局またしばらくで上側から
エアが漏れ始めました。そこで今度は巻く範囲を上下にのばして
テープを厚巻きし、ビニール紐で押さえてさらにその上を
結束バンドでキリキリと締め上げてやりました(上の画像で
ビニール紐のある範囲)。これはなかなか効いたのですが
今度はこれまで漏れてきたことが無かったために油断していた
下側からエア漏れが生じました。それではとすでに巻いてある
テープはそのままにして下縁にテープを巻き足して結束バンドで
締め上げました。この状態が上の画像というわけですが
わずか1.5ミリ程度の穴にまるで拘束具でがんじがらめに
したような非常に醜悪な外観です。

今度こそはの思いと行き詰まり感の両方を感じる状態だったのですが
数日これで耐えた後またしても以前あったように「パンッ!」の
音とともに中途部分がパンク、さすがにテープ自体の強度が
耐えきれないのだと認識せざるを得なくなりました。


そこでこれです。黒い自己融着テープよりかなり値の張る
別の商品を手配しました。耐圧性能は記されていませんが
引張強度は:7.0Mpaとあります。 どう比較できるという数字でも
ないのですがレトラ517の性能は最高圧力:5.5kgf/cm2
(0.55MPa)とのことで、少なくともエア漏れの圧力のせいで
テープの基材そのものが破断することは無さそうです。


アルミテープを貼っても巻き付ける範囲を広げても
期待ほどの効果は無かったのでシンプルに巻いてみました。
ウェブの動画では10回巻いていたので私もそれにならって
みました。今度こそもっと長持ちをと願うばかりです。

〈その後・4〉2014/9/23記載
その後何ヶ月も経ちましたが特に異状が生じる 兆候はありません。
どうやらこれが最終的な対処としても良さそうです。なおこの箇所の他に
今度はパイプの下部に2カ所穴が生じたので同じやり方で対処しましたが
こちらも問題ありません。この2カ所の穴は下部の裏面ということで
いかにも内部から錆びても仕方ない場所ですが、それにしても
パイプ下部に水抜きのバルブの無いこの構造は製品として欠陥を
感じさせられます。やがては次々に穴が生じて対処不能に陥るのも
やむを得ないだろうと思っていますが、その時にはちゃんとタンクに
水抜きのある製品を選んで日常的なメンテナンスを怠らずに一生
使い通せるようにしたいと思います。

2015/1/2記載
レトラ517についてそういえば深く考えていなかったことでつい最近
初めて知ったことがあるのでついでに書いておきます。

他の方のサイトで画像を見て知ったのですが一見して変な場所にある
レトラ517の水抜きバルブ、こんな高い場所にあったらパイプ状のタンクの
底部分の水が抜けるわけがないと思っていたのですが、実はこのバルブの
内側からタンク内をチューブが垂直部分をずーっと下がって底部の
水平部分まで伸びており、これを通じてタンク底に溜まった水が
内部の圧力でバルブまで上ってきて排出されるという仕組みに
なっているようです。これは知ってみればなるほどと思うことでは
あるのですが真剣に構造を考えたことはありませんでした。
もっともそれだけのことなら設置状況によってはチューブの入り口に達しない
水がタンクの底に溜まってしまうことはいくらでもありそうなことなわけで
あまり良い設計では無さそうだということも相変わらず言えるように
思います。

2020/10/2記載

〈結局こうなりました〉


上記2014年9月の状態で随分頑張り続けたのですが
予測した通りエアタンクの傷みは着々と進行したようで
2019年には耐圧性能のある配管修理テープでも
修理しきれないエア漏れを生じるようになりました。
いよいよ寿命と買い換えを検討し始めたのですが
本体をよくよく見るとコンプレッサー本体とタンクは
規格品のホースやコネクタで繋がっていることに
気付きました。そこで単体のエアタンクを購入、
本体からのホースを繋ぎ換えてみたところ
何ら問題なく使用できるようになりました!元の
水抜きや圧力計は単体エアタンクの出口に繋いで
これで完了、何年も困り続けたエア漏れの問題も
完全解決です。エアタンクはそれほど高価な物ではなく
良い解決方法となりました。これでまだ当分、
ひょっとすると一生でもこのレトラ517を使用
し続けられそうです。これと同じコンプレッサーを
まだ使用している方がどのくらいいるか分かりませんが
同じようなトラブルで困っている方がいれば
恒久的な対策として参考になるのではと思います。