[北風小僧の寒太郎] (2022/1/15)

※すべての画像はクリックすると別窓で少しだけ大きな画像が見られます。
NHKでオンエアされている「みんなのうた」。
本当にたくさんの歌がオンエアされてきた中で
もっともなじみのある歌の一つに「北風小僧の
寒太郎」があります。1970年代にオンエアが
開始されましたが、初めてのオンエアは
「みんなのうた」ではなく「おかあさんと
いっしょ」だとか、途中で映像が変更されたとか、
色々なエピソードがあるようです。再放送も
しばしばされるので様々な年代に聞きなじみが
あるという人がいることでしょう。映像に関しては
当初実写とアニメの合成で後にすべてアニメに
置き換えられたそうです。アニメの絵柄が
その前後で変化しているのか否かは分かりませんが
このページの立体は置き換えられた後の映像の
キャラクターを造形した物です。

私は通常こうしたフルスクラッチの人形などを
作る際にはポリパテを使うのですが、本作を
造形する頃は体調が悪くポリパテに含まれる
有機溶剤が身体に悪影響を与えることを
懸念して試行的な意味もあり使い慣れない
造形用紙粘土を使用しています。当然ながら
普段使い慣れた材料とは性質が異なりいつも
使っている慣れた造形手法が通用せず製作中は
これがポリパテならと思うこともしばしばでした。
うまく造形できず細工を半端で済ませてしまった
点も多く全体の完成度が下がってしまったのは
残念至極です。文字通りの土人形的な仕上りに
なってしまった訳ですがこのキャラクターですから
ある意味そのことは品物に味を与えることに
なったかもしれませんがそれはたまたまの
結果であり残念なことに違いはありません。
とりあえず人形だけ彩色してみたものの単体では
どうにも見栄えがせずせっかく造形したのだから
もう一手間とそれぞれに簡単なベースを追加して
点数をかさ上げし、更に四体全部を並べてみて
ようやく及第点を自分で付けられる程度に
なりました。粘土も慣れればもっと達者に作れる
ようになるのでしょうが長年使ってきたこともあり
私にはやはりポリパテが向いているように
思います。ところで完成した品物を見て
「あれっ?」と思ったのは映像に較べてこれらの
立体はどれも頭身の低い頭でっかちになって
しまっていることです。作っている時は全然気に
ならなかったのですがひょっとして色の真っ白い
紙粘土で造形したことで頭と胴体の大きさの
比率を錯覚したのかもしれません。これも普段とは
違う材料を使ったゆえのことかもしれないと思うと
それはそれで面白い気がします。



寒太郎です。いわば精霊のような存在と言える
でしょう。ベースは映像を参考に寒々とした
重そうな空を描いてみました。



少し首がかしげているのはご愛敬。
合羽も紙粘土です。刀はプラ材。
顔色は微妙に黄味を加えた白塗りです。



横から。目の造形は微妙にやっては
あるのですが位置が分かるように、程度です。



笠、頭、胴体、合羽、刀の5パーツ。
飛行ポーズとの差し替えのために
各パーツは外せるようにしています。



笠のてっぺんにはたわしから抜いた毛を
植えてみました。



寂寥とした感じを見て取って頂ければ
成功なのですがさてどうでしょうか。



映像でもユーモラスな飛びポーズ。残念ながら
その雰囲気はあまり忠実に再現できていないの
ですが、おまけということでご容赦です。



合羽だけが立ちポーズから差し替えになって
います。頭は合羽だけに差してある状態なので
胴体は同じで問題ありません。



映像では合羽の裏には六花(雪の結晶)っぽい
柄が入っていますが細かい模様を合羽の
裏側に描くのは大変なのと大して見えない場所
なのでとぼけて無視しました。



里の女の子。街の女の子とよく似ていますが
親戚だとか何か設定が有るのかは分かりません。
顔は口は凹ませてありますが目は真っ平らで
塗装だけで表現しています。もう少ししっかり
可愛らしく描けば良かったな…。



椿(それとも山茶花?牡丹?)の柄の半纏と
マフラーに長靴。髪を縛ったゴム(?)は
色どころか形状も、いや、もっと言えば髪型
自体映像ではよく分からないのですが
街の子とよく似ているが同じではないという
線で好きに作りました。



ベースは積もった雪。紙粘土で作りましたが
これは良い感じで紙粘土ならではの造形です。



半纏の柄は筆は一切使わず爪楊枝でポンと
スタンプしたりちょいちょいと塗料を引いて
描きました。塗装はすべてプラモ用のラッカー系
塗料です。アクリルガッシュも持っていますが
要領が分からずまるっきり使えません。



街の女の子。冷たい空っ風の中、落ち葉の舞う
歩道の上から(多分)歩道橋を見上げます。
こちらも髪型はよく分からなかったので
それっぽい感じに好きに作りました。前髪は
パッツンにしてしまいましたが映像では自然な
バラツキ(スケ?)が表現されています。
そこを変えてしまったのは紙粘土でうまく
造形できなかったからであり努力と技術の
不足で投げてしまったもっとも不覚な部分です。



都会の子だからか、里の子が雪にほほえんで
いるように見えるのにこの子は寒風にやれやれと
いった感じの顔をしているように思えます。
あと雪焼けなのか顔色がちょっと濃いめの
里の子に較べてこちらの子は色白にしてあります。
里の子もそうですが顔はもっとしっかり
作り込んだり可愛く塗ってあげれば良かったと
前髪の造形と同時に一番後悔する部分です。



歩道はプラ板、落ち葉は何かの薄紙を切って
作り、水性ボンドの点付けで固定。歩道の
塗装は簡単にドライブラシです。



いかにも昭和の女の子の風情です。



クシャン!とくしゃみする炉端のおじさん。
いかにも人の良さそうな笑顔です。これは
四体の中で一番のお気に入りです。



囲炉裏はベースに合わせて映像からだいぶ
トリミングしました。映像では鉄瓶や背後に
裸電球もあってより雰囲気があります。



畑仕事といわず、山仕事といわず、身近な
品物の取引までなんでもやっていそうな
昔の寒村あたりの何でも屋のおじさん的な
人物でしょうか。黒っぽいティッシュが不思議な
感じですが映像でもこんな色です。



ちょっと猫背。ベースはプラ板で組みました。
囲炉裏の灰だけ粘土です。



良い味出してます。



四品揃って。これらをまとめてひと作品と
いう感じです。



後ろ姿です。実はこれらの品物、2021年の
2月頃に作り始めて大体の形ができてきた頃に
3月になって当時「みんなのうた」でオンエア
されていた「北風小僧の寒太郎」の歌が他の
曲に変わってしまったのと同時に季節も春に
移り始めてこのままでは完成するのは春爛漫の
頃になってしまうと一時製作を中断した経緯が
あります。その後10月頃だったかに製作を
再開して完成させましたがそれだけの期間
間が空いてしまうとモチベーションの変化も大きく
元々上手く扱えない素材だったこともあり
製作のストレスも多めでした。そんな事情もある
品物がなんとかこのくらいの出来で完成
できたのは幸いでしたができれば品物の製作は
間を空けずに頑張って作業を途切れさせる
ことなく完成まで持っていくのに越したことは
ないと反省した次第です。