[1/144HGUC メッサーラ] (2015/4/18)

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模型に出戻ろうと考えて2013年6月にキットを購入したものの
少し手を加えたところで中断、今年になってから作業を再開、
非常にゆっくりした作業の末ようやく完成したものです。
出戻り第一作になるはずの品物だったので基本に立ち戻って
自分の好みのままに気になる部分には手を加えられるだけ
加える代わりに一般的に行なわれる処理や仕上げ・改造であっても
私が気にならないならそのままにするという方針で製作しました。
途中で別の品物をいくつか作ることになったので出戻り第一作では
なくなりましたが製作方針はそのまま継続してこの通りシンプルで
すっきりした仕上りになりました。

MSモード正面。
1/144とはいえ設定上頭頂高23m、
全高30.2mと大柄な機体なので
模型でもちょっとした1/100キット並みの
ボリュームがあります。スタンドは
キット付属のものですが爪や
ジョイントなどを装着するアダプター部分を
削除してあります。

背面。
巨大なブースターが特徴的です。
キット全体でプロポーション変更はほとんど
行なっていません。メッサーラという機体
自体にあまりこだわりがないのとキットの
プロポーションが気に入ったからです。
設定と比べてどうこうという見方も
あるでしょうが調べた限りではそもそもの
設定自体が時代的なものもあってかなり
もっさりしておりキットは現在の他のキットと
雰囲気を合わせる等の配慮もあるのでしょう、
意識的にデザイン上の解像度を上げたり
アレンジが加えられています。

前方から。
プロポーションに関わる改造はほとんど
ありませんがキットのすね形状が
ヒョウタンのようにくびれているのが
気持ち悪かったのでストレートなラインに
改造しました。同様に何だかラインが
気持ち悪いということで腕のウェポン
コンテナ外側に折れを入れたり側面の
機関砲も形状を変えてあります。
塗装は基本的にオリジナルを踏襲して
いますが装甲の外と内、爪やマニピュレータ、
熱で灼けそうな部分、弾頭など
機能に着目して色を変えたり塗り分けを
変更しています。赤などもどこも同じに
見えますが実は3色使用して微妙に
色を変えています。黄やピンクの発光部は
アルミ箔や透明パーツを用いてメリハリを
つけていますがこのあたりはスケールモデルの
ライトなどのイメージでスケール感というより
どちらかというと単純に「やってみたかった」と
いう理由が大きいです。

側面から。
ディテール追加はかなり控えめです。
凝った模型製作では執拗とも言えるレベルで
緻密なディテールを追加した作品が最近特に
多く見られてスゴイとは感じるのですが
私は真似したいという欲求は起きません。
この品物程度の(ある意味おざなりな)単純な
スジ彫り程度ならまだしもあまり細かい
ディテールを加えようというならなぜそこに
そんなディテールがあるのか、どんな機能が
そのディテールを必要としているのかと
いうことから考えないと手が動きません。
また緻密なディテールを追加した作品が
増えれば増えるほどそれは誰でもやる手法として
手垢が付いてくるわけで今更特に好みと
いうわけでもないのに真似してみても
手間を食うばかりで面白くないということも
あります。まあ他人にできて私はできないと
なれば悔しいということはあるかもしれませんが
そんなことにばかりこだわっていると
自分が本当にしたいことをするより
いつまでも他人の後追いにばかりに
一生懸命になる羽目になってしまいます。

後方から。
すね後方のカバー、ブースター後端の
スタビレータは裏面がスカスカなので
スジ彫り入りプラ板を貼ったり偏向板っぽく
プラ板を貼ったりしましたがこれはセンスも
良くなければ工夫も足りなくて格好良いとは
言えない仕上りになりました。失敗では
あるのですがやってみてダメだったと
分かるならそれもスキルの積み上げと
いうことでそのままとしました。この品物が
もし誰かからの依頼品なら少なくとも
すね後カバー裏の偏向板?はむしり取って
しまうでしょう。

ぱっと見では「素組み?」と思われて
しまうくらいに本当の素組みとイメージが
変わらないこの品物ですが実は細かい部分に
それなりの加工がかなり加えてあります。
キットの組立て説明書の表紙を出して
おきますので各部を比較してみてください。

上半身。
モノアイは手削りで縁を作ってあります。
他はクリアパーツやメタリックなのになぜ
目だけが普通のピンクなのかといえば
メタリックは光が当たらないとかえって暗く
沈んでしまうからです。額のポッチをクリア
パーツに変えてありますが普通に黄色で
塗るよりかえって暗く見えます。
そういうことです。

肩のハッチを開放。ミサイルの先端は
メタリックマーカーのシルバーを差して
アクセントにしました。それから結果的に
効果は微妙でしたが頭と胸プレートを
左右に振れるように可動を仕込んで
みました。上の画像と比べてください。
モノアイを可動にする工作をする方は
たまにいますがポーズ付けに役立つのは
むしろこういう可動の方だろうと考えます。
イマイチ不徹底で効果が低いので
説得力がなくてただのイタズラ改造に
なってしまったのは少々残念ですが
これはこれで私らしいと苦笑したりします。

ポーズ。
非常にイメージの良いキットなのですが
これはいけないと感じたのは「手」です。平手は
よじれた親指を直した程度ですが武器持ち手は
とにかく納得いかない形状だったので指を関節ごとに
すべて切り取って整形・再接着・さらに整形しました。
ウェポンコンテナの爪は収納式にするアイデアも
ありましたがいろいろ骨が折れすぎるので
裏面の肉抜き修整程度にしました。ちなみに
閉状態の爪もそのままではあんまりなので
作り直してあります。

MAモード正面。
きちんと作り込んだ作品でこの形態を
取らせる人があまりいない気がするのですが
多分塗装はがれが恐いのでしょう。それとも
この形状があまり好きではない人が多いの
でしょうか。ビームキャノンの砲身は砲口パーツを
一旦エッチングのこで分解、砲身を慎重に
切り取って外装・砲身の双方を修復して
別パーツ化してあります。

後面。
大きなノズルが並ぶブースター後面や
ブースター基部となる背板の裏面は
キットの状態で細かいディテールが並ぶ
見所の一つです。特に背板裏は冒険を
避けて無難にもっと単純な形状にすることも
できたでしょうによくぞこんなディテールを
盛り込んだと感心します…ここまで書いて
おいて画像がないのは申し訳ないのですが。

前方から。
頭がポコッと出ているとか全体の厚みが
気になるとか色々な言われようをする
形態です。脚は膝がもう少し逆折れするのが
正しいようですがそれだとこの画像より
さらに上下厚が増してしまうのでまっすぐの
ままにしてあります。機首は実は相当に
手を加えてあるのですが気持ち悪くうねった
曲面をスッキリさせるとかパーツ同士の
合わせ目を馴染ませる等の改修なので
完成すると何もしていないようにしか
見えないのが悔しいポイントです。

側面から。
確かに厚ぼったくてころんとしたイメージだと
いうのは否定できません。この方向から見ると
急に密度感が無くなって1/220くらいの
スケールに見えてしまったりもします。

後方から。
すね後ろカバーに追加したプラ板が
ダサダサで…。機能的にはすね内部の
スラスター?の出力を偏向して姿勢制御に
役立てるみたいなことを想定していて
それはまあ良いのですがとにかく
モノとしての工夫が無さ過ぎました。
ブースターのスタビレータ裏も工夫が
足りないのは同じですがすね裏よりは
マシでしょう。ところでブースター後端など
プラの板厚が目立つ部分はスジ彫りや
段差を加えてそれを境に塗り分けています。
よく見る手法ではありますがこのように
目立つ部分については効果的です。
反面目立たない部分に施してもあまり
効果がなく手間対効果を重視するなら
場所を選んだ方が賢明と思います。
もちろんそれを潔しとせず徹底的に
手を加えるのもアリです。

身も蓋もないことを言えばご覧になった多くの方の目にはつまらない品物と
映っただろうと思います。ウケが取れそうなキャッチーな改造は何もしていませんし
単に完成品として見ても「なぜここで終わりにするのか。ここから汚しを入れたり
マーキングをしたりしないと映えないじゃないか」という声が聞こえてきそうです。
ウケを取りたいならそれなりのアイデアを考えて盛り込むことが必要ですが
今回は本当に自分のためだけに作った品物なのでそういうことは必要なかったし
逆に自サイトとはいえこうして記事にする必要の方が薄かったかもしれません。
この品物を作るということで必要だったのは「自分は何をどうしたいのか」とか
「製作にあたって何に対してどうするのか」というバックグラウンド的な部分で
出来上がった品物やそれを撮影したこれらの画像は「出るべくしておのずと出た
結果」に過ぎないとも言えます。やれるだけのことややるべきことをしっかりと
やるということが大事でその結果というのはただ受け入れればいいというだけの
ことです。そんなわけで一つ一つの作業の出来の良し悪しは置くとして
やりたいことをできる限り盛り込んだ(と同時にやりたくないことは盛り込まなかった)
この品物は誰の目にどう映ろうが私の嗜好をかなりストレートに表現したものと
なったと思いますからまずは満足しています。ただ自分の好みにだけ没入
しすぎると誰の反応も得られない独りよがりの品物ばかりになってしまって
それはそれで良くないので今回のようなやり方だけにこだわるのではなく
色々な作り方を今後試行していこうと思います。