[メカコレクション 主力戦艦] (2015/6/5)

※すべての画像はクリックすると別窓で大きな画像が見られます。

30年以上前に発売されたキットの再販品です。映画「さらば宇宙戦艦ヤマト」に
登場するメカから当初10種類が発売されたメカコレクションのうちの一つですが
個人的な感想としてはその中でも特に出来が悪いと感じたものの一つです。
大きなプラモデルが発売されたメカについてはメカコレは購入していない
ものもあるので10種の中でということではありませんが個人的には自分で買った
メカコレの中ではワースト1という位置づけで今日まで来た品物と言って良いです。
似たデザインのアンドロメダが当時のキャラ物キットとしてはオーパーツと
呼びたいくらいの出来の良さだったのでこのキットを組んだ時のガッカリ感は
半端ありませんでした。

今回はたまたまキットを手に入れる機会があったので昔の満たされなかった思いを
少しでも晴らそうと手を付けました。当初は合わせ目をきちんと消して金型の
劣化も含めてガタガタした部分をきれいにならす程度のつもりだったのですが
あらためてキットを見てみると驚いたことに映画公開時に発表された側面図と
比較してこれにきわめて近い雰囲気を保っていることが分かりました。
このキットの出来の悪さの正体は歪んだ船体の曲面やことごとくダレたエッジ、
埋まって丸まったコーナー、フリーハンドで彫ったようなおざなりで不規則な
スジ彫り(驚いたことに素人が彫ったように二本になってしまったスジ彫りまで
ある)、金型加工の限界や制限・やむを得ないディテールの一体化の結果とは
とても言えないおざなりな細部形状など、要するに大まかな形出しまではきちんと
やったのにそこから先はことごとく不徹底というアマチュアのフルスクラッチなどに
ありがちな残念な立体物と同質のものであると言えます。あとは部分的なデザインに
共通点が多いだけに錯覚してしまうのですが設定画を比べると主力戦艦と
アンドロメダとではプロポーションが全然違うということを見落としてプラモデルの
アンドロメダを基準にしてプロポーションを評価し「格好悪い」となってしまいがち
なのもこのキットには気の毒だったところです。

というわけで素性は思いのほか良いキットと分かったので徹底的にやってみました。
結果的には精度面では気の遣い方がまだまだ足りなかったり手作業の
限界や私の技量の結果で至らない部分も多々ある品物となってしまいましたが
私にはよくある「見なかったことにしてそのまま」という部分はできる限り
排除した良い意味でネチネチした品物になりました。画像にすると不出来な
部分が更に目立ってしまいますがとにかくやるだけやったという点については
「まずは良し」としておきます。

スマートなアンドロメダと比べて
主力戦艦は実はかなりずんぐり
していて艦橋も大きいのです。
とはいえキットのディテールで
艦橋のサイズもキットのままだと
なおさらバランスが悪く見えるので
加工の際に大きさも一回り小さく
しました。

側面のサブノズルや各部の
紡錘型のディテール類は
船体の整形や加工に邪魔なので
一度切り取って再接着しています。
サブノズルは全体をやや外寄りに
張り出させたりプラパイプでノズル
本体を新造。その側面のマストは
アンドロメダにあるのだしこんな改装を
施された艦もあって良いだろうと
勝手に追加しました。

こうしてみるとどうしてどうして、
アンドロメダよりコロコロして寸詰まりと
言いつつそれなりにスマートな
雰囲気です。主砲はそのままだと
砲身が甲板と平行で目の錯覚か
むしろ下がっているように見えるので
砲塔に下から切り込みを入れて
前半分を丸ごとぐいっと持ち上げるという
無茶な方法でやや上へ向けました。

台座は誰が作ってもこの位置に
変更するみたいですね。甲板には
スジ彫り入りプラ板を貼ったり
砲塔は0.5oプラ板から切り出した
アンテナ?を追加したり、とにかく
加工した部分は挙げると
キリがありません。

メインノズルは側面全体に
ものすごいヒケが出ていて
これを利用してくびれたノズルに
するかストレートにするかと
迷いましたが結局ストレートな
形状にしました。

艦首に向けてのラインは
シュッと素直にすぼまっていくように
しました。砲口は一旦切り取った
キットのパーツをプラ板で整形して
その形に艦本体を合わせました。
側面の開口部は縁から5ミリ程度を
切り取って加工・再接着しています。
他の開口部も基本的には同じ
加工法です。

艦橋のマスト・アンテナはキットの
パーツを加工しています。押し出しピンの
あった側はパーツを薄くする加工を兼ねて
平らにしてしまいました。艦橋下部脇の
三連装対空砲はこの部分の幅が2ミリ足らずで
とてもこれに合う砲塔は作れないので
艦橋側面に位置を移動し形状も円筒の
二分割に単純化しました。砲身は延ばし
プラ棒で作りました。前を向いた対空砲も
似たような感じですが砲塔本体はランナーの
ゲート先端の丸いところを使いました。

波動砲内部はシャッターのモールドを
簡単ながら作ってあります。各開口部の
フィンは0.5または0.3ミリのプラ板を
現物合わせで切り出してピンセットを
使って流し込み接着剤でチマチマと接着。
艦橋頂上部は私の勝手なアレンジで
元になった設定というのはありません。

これは格好悪いので画像を載せるのは
やめようかと迷ったのですが…。
写真を撮るまで中心線や左右対称が
ここまで狂っているとは気がつきませんでした。
形状の加工時、取付け穴の開孔やボスの
設置時、写真を撮る前のセッティング時など
あらゆるタイミングで神経の遣い方が足りなかった
ようです。逆にこういう品物ではそういう部分が
キモの一つなのだとよく分かりました。
ロボット的なものだとそんなに気を遣わなくても
ここまでは目立たないのですが。

作っている時はあまりに細い部品だし
これで十分と思った艦橋のアンテナも
こうしてみるともっともっと細く削れたなと
感じます。

主砲塔は回せます。第一砲塔は設定でも
甲板のスロープに合わせて砲塔の後半分が
くさび形に薄くなっているのですがそれでは
砲塔内部がいかにも狭そうなので甲板の方を
丸く削って砲塔の形を揃えました。

真横に向けて撃てば3つの砲塔で
一度に敵を狙えます。もっとも
敵からみたら的が大きくなるとも
言えますが、実際のところどっちが
良い戦法なのでしょう。

実は艦橋も回ります(笑)。
これで大型艦橋砲も一斉射に
加えることができます!

もちろん私らしいイタズラギミックですが
こういうのをこっそり仕込んでおくのが
大好きなのです。

いろいろ書きましたがこういう
比較画像を見てもらうのが一番
手っ取り早いですね。加工の都合上
一旦切り取って元に戻したような
部分は分かりませんが。
全体の大まかな形状はほとんど
同じなのが分かります。

塗装はニュートラルグレーに
白を混ぜてミディアムブルーで
青味を加えました。メインノズルは
艦底色に黄色味を加えた色を
本体の色に合わせてやや調整。
複数の色で塗り分ける時はすべての
色に基本の色(今回は本体のグレー)を
ちょっとずつ混ぜてやると色同士が
ケンカしづらくなります。

2199版ヤマトと。さすがに見劣り
するだろうと思ったのですが
意外と頑張っている感じです。
未来的なメカだの何だのという代物は
つるっとしてディテールも少なく
洗練された単純なラインという
昔ながらのありがちなイメージに
合致するからかもしれません。

おまけ。簡単な飾り方のアイデア。
スーパーで売っているケーキなどの
容器に収めてみました。台座を両面
テープで容器の底面にしっかりとめれば
ちょっと揺らしたり傾けたくらいでは
動きません。見た目にチープですが
ホコリは避けられますし必要に応じて
重ねたり持ち運ぶのに引っかけたりして
壊す危険も減ります。両面テープは
いつの間にか剥がれてしまうことも
あるのでその点だけ注意が必要です。