[1/72 VF-31Cジークフリード] (2019/2/2)

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バンダイから発売された可変キットです。以前同社のオズマメサイアことVF-25Sの可変キットや
フィギュアライズバストのマキナ中島を製作していたことからの繋がりで購入しました。
オズマメサイアを製作した時大変凝った設計ながら変形時にパーツ同士をぴったり合わせるのが
難しい部分や不安定な部分があることや変形操作自体がとにかくややこしくて説明書を読んだだけでは
分からないうまく変形させるためのツボやコツがあることなどが気になったのですが、このVF-31に関しては
レビューを見たり店頭の完成品を見る限りそのあたりが改善されていたり全体に洗練されてきている
イメージだったので興味を持って確かめてみたいという考えがありました。

実際に製作してそのあたりがどうだったかというと、確実性・安定性については非常に気を遣って
強化してあります。これでもかとばかりに追加された位置合わせ部やストッパーや固定部分、可動部の
渋みはどの形態でも適当にどこを持ってもパーツが取れたり外れたり形態が崩れたりを防ぎます。
無塗装でパチ組みしてブンドドして遊ぶのにも十分に耐えます。基本設計もすさまじくパーツ同士をしっかりと
嵌め合わせればパーツ間の隙間はほとんどの部分でほぼゼロになります。これは全く驚異的なことです。
色分けやマーキングにはデカールとテトロンシール(という呼び方が公式か分かりませんが)、ホイルシールが
付いていて今回はマーキング関係にこのシール2種を用いましたがこのテトロンシールが相変わらずの
優れもので一度貼ればちょっとくらいこすったり引っかけてもペロリと剥がれたり破れることがありません。
貼る際にも貼り損じたと思ったら慎重にデザインナイフの先や爪楊枝などでゆっくり剥がせば結構何回も
貼り直すことができます。この際にもシールが伸びたり破れたりシワになったり印刷が削れたりということが
そう簡単には起きません。そうして貼った後も場合によっては折り皺が若干残ることもありますが基本的には
きれいです。キット本体も凄いですがこのシールはまさに奇跡の素材と言っても良いのではないかと思います。
ホイルシールの方も貼り直しはどうか分かりませんが今回は印刷の質感も貼る部分とシールのカットラインの
ズレもほとんど無く大変貼りやすく良質なものとなっています。
…と褒めちぎった後で困った部分も。ストッパーやはめ込み部は当然部品同士がこすれますから塗装は
剥がれます。こすれないようにヤスれば固定になりません。その固定部分が多いのですからこれは塗装派には
困った問題です。隙間をほとんど生じない部品間の奇跡の設計も同じです。各形態完成時だけでなく
変形操作時にこすれたりぶつかったりで剥がれたり傷つくリスクが高くなります。関節の渋みも動かしたり
変形させる時にパーツをがっちり持たねばならないので手で塗面を傷める危険を増やします。この問題は特に
脚などで引っ張ったり押し込んだりしてパーツ同士の間隔を変える部分で顕著です。説明書だけでは
変形について完全に理解しがたいのもメサイアから引き継がれた問題ですが必要以上にパーツが動かないよう
ストッパーの設置等で改善を図っている部分もありますが変形機構自体がメサイアより複雑なこともあり
どこがどう動くのか、どこがどう嵌め込まれるのか(場所によっては操作者から見えない部分にストッパーがあり
ここがストッパーや嵌め込みになっていると容易に気付かない部分まである)把握するのは簡単ではありません。
にもかかわらずそれを理解しないと胴体部分の変形などはまともに行えずストレスは溜まるわパーツは
傷だらけになるわとハードルが高くなっています。他にも設計が巧みすぎで説明書通りの手順を儀式のように
正確に追わないと後で嵌め込めない部分が出て前に戻らないといけなかったり、よく出来てはいるのですが
ユーザーに要求するものが大変多い品物になってしまっています。「ガンプラは自由だ」というフレーズが
ありますがガンプラでは無いながらこの品物は大変不自由です。無塗装ブンドドもできるし全塗装固定でも
とてもカッコイイ品物ができるしユーザーに選択肢は与えられていてキット自体のポテンシャルは高いのですが
その反面とても窮屈です。キットがユーザーを縛っているイメージです。もちろん作り手はキットを自由にして
構わないわけですが自由勝手をすることはこのキットに関してはキットのポテンシャルを殺すもったいない
行為だと思います。大変悩ましい品物なのです。

しかしユーザーがキットにどう取り組むかを自主的に定めてしまいさえすればそう問題は多くないでしょう。
基本的な設計ミスと言える部分はあまりありません。武装に関して引出し式の部分が引き出せなくなる
危険がある部位があるとかこのC仕様に関して頭部レーザーが胸のクリアパーツの嵌ったとんがりに
干渉するというくらいです。今回は基本的には全塗装、マーキングはシールに頼み、分かりやすい
パネルラインにのみスミ入れを行ないました。思い入れの無さから散漫になったり今回は製作期間を
区切って自分で設けた締切りまでに完成させるというのをテーマに作ったので行き届かない部分も
多々あって後味の良くない製作になったという反省もありますが、完成した品物を見れば大変格好良くて
まあこれはこれで良いかと自分を慰めています。

ファイター形態。台座は別売りですが
接続パーツが付きます。本体と
接続パーツはしっかりと取付けでき
安定感があります。

前から。コクピットは単座・
複座の選択式。パイロットと同乗者が
女性の設定なのでパイロットの腰から
下がモールドされたコクピットごと
新規パーツになります。

下面。腕は主翼の一部を
構成します。ガンポッドも翼の
一部として取り込まれているのが
斬新です。

駐機状態。前脚は取り外し式。
もっと細かく塗り分けしても
良かったかもしれませんが
割り切りました。

膝アーマーを引出して反転させ
車輪を付けて主脚とします。
ストッパーがしっかりしているので
この形態でもどこもへたりません。

脚部展開。VF-1ではガウォーク
ファイターなどとも呼ばれましたが
他の機体ではあまりこうは呼ばない
みたいですね。

脚を下ろすだけのようですが
キットではこの形態にするだけでも
いろいろ変えられない手順が
あるのです…。

腕を出し武装を展開したガウォーク
状態。VF-1とは異なったバランス
です。

変形は、外したり付けたり変えたり
ねじったりひっくり返したり、それも
手順通りに…とこの状態で結構
ややこしい。

バトロイド形態。カッコイイです。
とにかくカッコイイ。写真は台座を
使っていますが背中の大荷物にも
関わらず支えなしで自立もいけます。
変形は素晴らしくややこしく複雑で
難しくて面倒です。ぶっちゃけ腰パーツは
前後パーツの嵌め込みを緩くして
下半身がカンタンに取れるように
しておいたり主翼ブロックも外せるように
しておく方が無難です。

横から。お腹周りのパーツの配置を
ファイター形態と較べればどれだけ
ややこしくブロック移動しているか
想像できるでしょう。コクピットは胸中央に
前後・上下はファイター形態そのままに
納まっています。その辺はVF-1やVF-25
と較べてもよく出来てるなあと感じます。

背面。メカニカルな魅力に
溢れています。武装を支えるテール部は
なんてこと無いように見えますが
設計にアレな部分があり、そのことに
気付くまでうまく折り曲げられず
ムキーッとなりました。あと変形に
夢中になるとこのバトロイド形態でのみ
取り外さなければならない胴体中央の
パーツの存在を忘れて「?どうしても
うまく変形できないよ〜?」となります。
結構大きなパーツなのですが周囲と
馴染んでいるので別パーツだということを
忘れてしまうのです。

胴体部のアップ。基本的には
みっちり感が有りますが展開した
武装の断面や可動部分のヒンジなど
プラモらしい隙もあります。これらに
手を加えるのはさほどの手間では
無いですがどこまでやるべきかは
個々のユーザーの技量やどのような
完成品を目指すかで異なってくるでしょう。
どれだけ手間をかけても一度変形させる
だけで色が剥げたり傷んでしまうのでは
ガッカリですし。

以前こさえたマキナ中島と。
このようなディスプレイも想定しての
キット展開がされたシリーズでした。
マキナがこの服装なら本当は機体の方は
スーパー仕様の方が良いのでしょうが
キット購入時はまだCタイプのスーパー仕様は
発売されていませんでした。(別売りの
スーパーパックが出ていましたがハヤテ用と
銘打たれていたうえ値段が高かったので…)