[マッハウィンディ・ミニレリーフ] (2014/2/11)


2013年夏に造形を開始し、同年10月に原型完成、その後型取り複製を経て
ワンダーフェスティバル2014冬に塗装済み完成品として販売した品物です。
これ以前は長期にわたり模型製作活動を休止しており、直前のごく短期間に
多少ガンプラをいじったりしていますがフルスクラッチ完成品としては5年ぶりの
品物となります(プラモを含めるとほぼ4年ぶり)。

何もかもの作業が極めて久しぶりでした。意外と手が覚えているという感覚と
やっぱりすっかり忘れていたという感覚の両方が共存していて全然作業が
先へ進まないということはないのですがかつてやっていたほど順調には
進まないというじれったい製作活動でした。作業の感覚そのものもですが、
昔より根気や集中力がかなり弱まっていてそれも我ながらブランクを感じる
ところでした。肉体的には心配していた腰の負担は無かったのですが
近年進行し始めた老眼で作業時は必ずメガネが必要だったのが哀愁溢れる
ところです。


これがほぼ正面からの画像です。
ベースの円板の直径が約55ミリメートル、
ゴーグルを含めて全7パーツです。

右から。
レリーフ仕立てなので形状は相当に
歪ませていますがパースなどを計算して
形状を決めたわけではないので
いい加減な歪み方です。
手や顔などレリーフでも一見して
歪んでいるとおかしく見える部分は
普通に作っています。

左から。
ヘルメットの後ろ半分はベースに
めり込んだ解釈です。肩パッドは
結構いい加減に形状そのものを
アレンジしていたりします。


バキュームフォームのゴーグル
パーツは外すことが出来ます。
左肩のパッドは思い切って半分に
スパッと切ってしまいました。
胸のエンブレムは本来は
ステッカーなのでしょうが
塗装の便を考えて彫り込みに
しました。

ちょっと別の角度から。
このあたりがベストアングルかも
しれません。

こちら側から見ると
顔と胴体がもろにねじれていて
さすがに無理がある感じです。
視線も右目と左目で
全然違ってしまっています。

ヘルメットパーツを外した状態。
顔の造作も顔の正面方向から見ると
結構歪んでいます。
目は自作デカールです。
一体だけなら手描きで片付ける
ところですが12個分、24個の
このサイズの目を手描きするのは
かなりカンベンして欲しい作業です。

スナップ。
完成品ぞろぞろ。
ワンフェスでは商品10個
無事完売となりました。

原型完成までの作業もさることながら、型取り複製でもなかなか痛い目をみました。
型構造を基本的に間違えて樹脂が流れないというようなトラブルは無かったのですが
型の仕上げ方の細かいノウハウを忘れていて一応複製品は出来るけれど
型ズレがひどいとか細部に無理がかかってすぐに型が破損したりとか、離型剤代わりに
シリコンの上澄みを使ったら発泡しまくりだとか、そういう一つ一つは些細な失敗が
積み重なって相当に心身が痛めつけられました。何しろ12体です。1カ所修正が
必要な箇所があればそれは即12倍となるのです。まして完成品ですからキットと違って
「細かい不備はお客さんが修正してください」というわけにはいきません。作業中の
あらゆる段階で「この部分はちょっとアレだけど、後の工程で手直しすればいいや」と
見送ってしまったことが作業が進む程に積み重なって結局複製したパーツの修正、
仕上げ、塗装の段になって自分が苦しむ羽目になりました。まったく手は抜けない
ものですが、こんなことはそういえば昔はよく分かっていた気がします。

ワンフェス申請を前提に製作を開始した品物ですが、主たる目的は「アイアンリーガーの
当日版権はワンフェスでも下りるのだ」ということを実証することでした。それ故本来は
凝った仕様の品物である必要はなく当初はただ一枚板を彫っただけのような
レリーフになるはずでした。しかし今モデラーでアイアンリーガーに興味を持っている人が
どれだけいるかはまったく読めず、まず相手にするなら食玩などの完成品フィギュアを
購入する層だろうと考えると塗装済みの品物であることは必須、塗装するなら
色ごとにパーツが分かれていた方が便利だし見栄えも良い。どうせパーツ分割するなら
より立体感がある方がいい、胸と頭だけでは動きの変化がないし奥行き感も欠けるから
手を付けよう…とそんな経緯でこんな品物になりました。

久しぶりのフルスクラッチ作品として一応の完成を見たわけですがこれで自分の
やろうとしたことがやりきれたかと言えばサッパリです。もともと大した腕前は
ありませんでしたが活動を休止している間にあらゆる点で本当に衰えました。
自分が「これだ」と思えるものはどんな人でもそう簡単に作れるものではないでしょうが
私の場合は本当に、もっともっと、もっと頑張らないと曲がりなりにも自分自身が
納得できるものは作れなさそうです。ここからまたスタートし直しの覚悟です。